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遡及請求についての誤解
2019.09.23
障害年金が5年分遡って支給される、という話はだんだん広まってきているようですが、
その5年について誤解されている方が多いようです。
そこで「遡及請求5年の謎」を解き明かしたいと思います。
障害年金の最初の請求方法は、
①障害認定日請求
②事後重症請求
の2つだけしかありません。
①の障害認定日請求とは、
原則として、初診日(初めて医師の診察を受けた日)から1年半後の状態(例外として一部1年半前があります)での請求です。
②の事後重症請求とは、
現在の症状での請求です。
初診日から1年半後の症状は、障害年金に該当するほど重くなかった方は、②の事後重症請求のみをすることになります。
訴求請求とは
初診日から1年半後も重かったが、障害年金のことを知らないために請求していなかった、という場合は、その1年半後のときのカルテに基づいて医師に診断書を書いてもらって、障害認定日請求をすることになります。これが訴求請求です。
この請求が認められて、障害認定日が5年以上昔だった場合は、今から5年前までの年金が支給されます。
障害認定日が10年以上昔でも、時効のため5年分しか支給されません。
これが遡及請求です。
今から5年前の状態で請求するのではありません。
たとえば
・糖尿病から腎不全になって、最近人工透析になった方など、初診日が10年も20年もさかのぼる方は、初診日から1年半後はそれほど重くないことが多いので、認定日請求をしても認められないことが多いです。
「初診日は20年前だが、5年前から人工透析をやっていたのだから、5年前で請求できないか」「初診日は10年前だが、4年前から急に悪くなったのだから、4年前で請求できないか」というご質問が時々あるのですが、あくまで障害認定日請求(=遡及請求)は、初診日から1年半後の症状でしかできません。
遡及請求をする時の問題点
①5年以上前のカルテが保存されていないことが多いということです。
医師法では、カルテの保存は5年となっているので、それ以上前のものがなくても違反ではないのです。
ただ、病院によっては10年前とか、それ以上前のものも、他の倉庫などに保管していることがありますので、あきらめずに問い合わせをしてみる必要はあります。
②カルテが残っていても、精神疾患などの場合はカルテに日常生活の様子を詳しく書いてあることが少ないので、当時の主治医が転院などでいなくなっている場合、請求される方もしばらく前に他の病院に移ったりしていると、請求人のことを全く知らない医師がカルテのみで書くことになり、正確な当時の状態を反映した診断書ができないということもあります。
転院をしている場合は、5年遡及は結構ハードルが高いと思っていただいた方がよさそうです。
今日は、遡及請求のお話でした。