大和社会保険労務士事務所

お知らせ

パーキンソン病の障害年金申請 事例1

2022.05.17

受任の経緯

受任時年齢64歳11か月。

ご本人が、64歳11か月になったので、老齢年金の手続きのために年金事務所に行ったところ、その姿を見て、年金事務所の窓口の人が「期限は1カ月しかないけれど」と言いながら、障害年金のことを勧めてくれたとのこと。ご本人はそれまで障害年金のことを知らなかった。

65歳以上になると、障害年金の申請はできなくなります。(認定日請求はできます)。

当時すでに腰が曲がり、杖をついてやっと歩いていたが、手の震えもひどく、杖も震えて危なっかしかった。リュックから物を出すのも大変だった。

とにかく1カ月ですべて揃えて、請求を出さなければいけない。大学病院だったので、診断書のルールなどはある程度決まっていたのだが、診察に同行して主治医に事情を話し、特別扱いで診断書を書いてもらった。

実はこの主治医、クライアントがこんなに酷い症状だとは、つい直前まで認識していなかったそうだ。

ご本人は、診察室に入るときは、杖を入口に置いて入っていて、入口から患者用の椅子までの距離は1メートルくらいしかなかったので、歩行に困難だとは思っていなかった。ところが、診断書をお願いする直前に、たまたま銀行のATMでご本人の姿を見て、初めて「こんなに大変なのか」と驚いたようだった。

そのこともあって、診断書はすぐに書いてくれた。当時、ご本人はまだ会社に勤めていた。それは、長年会社に貢献してきたことを社長が感謝していて、「来るだけでいい」と言って席を置いてくれたため、ご本人は65歳の定年まで頑張ろう、と以前の2倍の時間をかけて通っていたものだった。

裁定請求の結果

就労している事情を、診断書や「病歴・就労状況等申立書」に書いたが、「就労している」という理由で、結果は3級だった。

審査請求

障害状態は、絶対2級であるということ、病状は今後もっと進行することがあるということを考えると、65歳前に2級を取ることは絶対に必要だった。

そこで、すぐに審査請求をした。その結果、無事2級が認められた。

65歳までに2級を取得していれば、将来病状が進行した時に、1級への額改定請求ができる。(3級では額改定請求はできない)

将来の安心を得ることができて、ほっとした案件でした。

 

記事監修
この記事を書いた人

吉成玲子

職業:大和社会保険労務士事務所 代表社労士

所属:埼玉県社会保険労務士会、障害年金法研究会

27年の銀行勤務を経て、2009年に社会保険労務士として開業。 障害年金の相談員としての経験を経て、2012年より障害年金専門社労士として活動開始。相談件数1000件以上、裁定請求300件、審査請求20件、訴訟補佐人1件(勝訴)の実績を持ち、障害年金受給後のサポートも行い、多数の研修会やセミナーで登壇も行っています。