大和社会保険労務士事務所

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パーキンソン病の障害年金の認定や請求はどうすればいい?

2023.01.18

パーキンソン病は障害年金の支給の対象となる疾患ですが、パーキンソン病と診断されると、ただちに障害年金の該当者になるわけではありません。障害の状態が障害等級の要件を満たしている場合に、障害年金を受け取れるのですが、なぜパーキンソン病は認定されにくいのでしょうか。この記事では、パーキンソン病の認定基準、請求する際の注意点などをご紹介します。パーキンソン病の家族に代わって障害年金の請求(申請)を検討している方もぜひ参考にしてください。

パーキンソン病とは

パーキンソン病とは原因不明の神経変性疾患で、50歳ごろから発症し、ゆっくりと進行します。国の指定難病になっており、手足が震える、筋肉がこわばる、動きが鈍くなる、身体のバランスが悪くなる、といった症状が主な特徴です。

パーキンソン病は高齢化が進むにつれて、珍しい病気ではなくなってきました。日本でのパーキンソン病の発症率は人口10万人あたり100人~180人程度であり、60歳以上では100人に1人が発症。国内には約15万人以上の患者がいると言われています。

その昔、パーキンソン病と言うと、不治の病、将来は寝たきりになるといったイメージがありましたが、今は検査も治療も飛躍的に進化しており、過去のイメージは払拭されてきました。ただし、良い薬も出ているのですが、まだ完治する病気ではなく、継続した治療が必要です。

パーキンソン病の症状は段階的に変動する

パーキンソン病は、神経伝達物質の一つドーパミンの減少によって引き起こされると言われています。ドーパミンが不足することで、脳からの情報伝達がスムーズにいかず、動作や運動障害が生じ、進行段階によってさまざまな症状が現れるのです。

パーキンソン病の障害年金の認定基準とは

パーキンソン病で日常生活に支障が生じている場合、障害年金の対象となります。障害年金を請求する場合、肢体(したい)の障害として請求するのが一般的です。パーキンソン病の認定基準の対象となる肢体・体幹障害の状態を、2022(令和4)年4月に改正された障害認定基準より抜粋しました。

パーキンソン病の認定に該当する障害認定基準は以下の通りです。

等級 障害の状態
1級
  • ・両上肢、または両下肢の機能に著しい障害を有するもの

  • ・体幹の機能に座っていることができない程度、または立ち上がることができない程度の障害を有するもの

  • ・身体の機能の障害、または長期にわたる安静を必要とする病状が、日常生活の用を弁ずることを不能ならしめる程度のもの

2級
  • ・上肢、または下肢の機能に著しい障害を有するもの

  • ・体幹の機能に歩くことができない程度の障害を有するもの

  • ・身体の機能の障害または長期にわたる安静を必要とする病状が、日常生活が著しい制限を受けるか、または日常生活に著しい制限を加えることを必要とする程度のもの

3級
  • ・身体の機能に、労働が著しい制限を受けるか、又は労働に著しい制限を加えることを必要とする程度の障害を残すもの

  • ・傷病が治らないで、身体の機能又は精神若しくは神経系統に、労働が制限を受けるか、又は労働に制限を加えることを必要とする程度の障害を有するものであって、厚生労働大臣が定めるもの

※ただし、原則として障害年金を請求できるのは65歳までです。



障害年金を請求する進め方

障害年金を請求する手続きの進め方は以下の通りです

  1. 初診日を調べて特定する
  2. 受診状況等証明書を取得
  3. 診断書(肢体の障害用)の作成を依頼
  4. 病歴・就労状況等申立書を作成

初診日を調べる

障害年金の請求には、「初診日」が非常に重要となります。なぜなら、初診日時点に加入していた年金制度(国民年金もしくは厚生年金)によって、受給できる障害年金が異なるからです。さらに、初診日前日までに保険料納付要件を満たしているかどうかを判断するためにも必要となります。

受診状況等証明書を取得

初診日を証明する書類として、受診状況等証明書があります。初診から請求する時まで、同一医療機関に通院している場合は、受診状況等証明書は必要ありません。しかし、初診の医療機関と、現在通院する医療機関が異なる場合、初診の医療機関で受診状況等証明書を取得する必要があります。

診断書の作成を依頼

障害年金の審査で一番重要なものは、診断書の内容です。
ご自分の状況をいかに主治医に詳しく伝えて、診断書に反映させてもらうかが重要です。

病歴・就労状況等申立書を作成

「病歴・就労状況等申立書」は、初めて医師の診察を受けた時の経緯、発病から現在までの経過を整理して、年月順で記入します。請求する人から病状の進み具合、障害により日常生活で困っていることなどを伝える唯一の書類です。

最後に

障害年金の請求は、認定されるのが難しいケースもあります。
認定基準や手続きの進め方で悩んだり判断が付かなかったりする場合は、一度年金事務所や社会保険労務士に相談してみてはいかがでしょうか。

記事監修
この記事を書いた人

吉成玲子

職業:大和社会保険労務士事務所 代表社労士

所属:埼玉県社会保険労務士会、障害年金法研究会

27年の銀行勤務を経て、2009年に社会保険労務士として開業。 障害年金の相談員としての経験を経て、2012年より障害年金専門社労士として活動開始。相談件数1000件以上、裁定請求300件、審査請求20件、訴訟補佐人1件(勝訴)の実績を持ち、障害年金受給後のサポートも行い、多数の研修会やセミナーで登壇も行っています。