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脊髄小脳変性症の認定基準|障害年金請求時のポイント

2023.11.30

脊髄小脳変性症とは手の震えや歩行時のふらつきなどを症状とする神経の病気です。症状によっては障害年金の受給が認められます。この記事では、脊髄小脳変性症の概要や、障害年金の認定基準についてご紹介しますので、ぜひ参考にしてください。

脊髄小脳変性症とは

脊髄小脳変性症とは歩行時にふらつく、ろれつが回らないなどの症状が出る神経の病気です。手足や口を動かすことはできますが、思うように動かすことができません。小脳という運動を司る部分が病気になることで症状が現れます。脊髄小脳変性症は1つの病気ではなく、運動失調の症状が出る病気の総称です。原因は様々で、症状や治療方法もそれぞれ異なります。家族の中に同じ症状を持つ人がいない『孤発性脊髄小脳変性症』と家族の中に同じ症状を持つ人がいる『遺伝性脊髄小脳変性症』があります。

脊髄小脳変性症の症状

脊髄小脳変性症の症状は原因や重症度、発症年齢によって変わってきます。

  • ● 歩行時や方向転換時にふらつく
  • ● 手が震える
  • ● ろれつが回らない、舌や口がもつれる
  • ● 知的障害やてんかんを合併することがある(若年発症)
  • ● しびれ
  • ● 感覚の鈍さ
  • ● 足のつっぱり
  • ● パーキンソン病の症状(手足の震え、動作が遅い・小さい、筋のこわばり、バランスが取れない)を合併することがある

脊髄小脳変性症はこれらの症状が非常にゆっくりと進行していきます。急激に悪化することはありません。転倒や誤嚥には注意が必要です。手すりや杖を使用する、誤嚥しないようとろみを付けるなどの工夫でリスクを減らしましょう。

脊髄小脳変性症の障害年金の認定基準とは

脊髄小脳変性症は基準を満たせば障害年金を受給できる病気です。国が定めている認定基準としては以下が挙げられます

【肢体の障害の認定基準】
障害の程度 障害の状態 補足
1級
  • ●一上肢及び一下肢の用を全く廃したもの

  • ●四肢の機能に相当程度の障害を残すもの

  • ●「用を全く廃したもの」とは、日常生活における動作のすべてが「一人で全くできない場合」又はこれに近い状態

  • ●「機能に相当程度の障害を残すもの」とは、日常生活における動作の多くが「一人で全くできない場合」又は日常生活における動作のほとんどが「一人でできるが非常に不自由な場合」

2級
  • ●一上肢及び一下肢の機能に相当程度の障害を残すもの

  • ●四肢に機能障害を残すもの

  • 「機能障害を残すもの」とは、日常生活における動作の一部が「一人で全くできない場合」又はほとんどが「一人でできてもやや不自由な場合」

3級
  • ●一上肢及び一下肢に機能障害を残すもの

引用元:国民年金・厚生年金保険 障害認定基準 第7節第4/肢体の機能の障害

障害年金には「障害厚生年金」と「障害基礎年金」がありますが、どちらになるかは初診日に加入していた年金制度によって決まります。

  • ● 障害厚生年金…初診日時点で厚生年金被保険者
  • ● 障害基礎年金…初診日時点で国民年金被保険者/初診日時点で20歳前または60歳以上65歳未満の年金未加入

脊髄小脳変性症は徐々に進行していく病気のため、申請するタイミングの判断が難しい疾患です。早い段階だと軽い障害として扱われ、申請資格がないとみなされてしまう可能性があります。認定基準を確認し、該当する状態になってから申請すると良いでしょう。

障害年金を請求する進め方

障害年金を請求する手続きの進め方は以下の通りです

  1. 初診日を調べて特定する
  2. 受診状況等証明書を取得
  3. 診断書の作成を依頼
  4. 病歴・就労状況等申立書を作成

初診日を調べる

障害年金の請求には、「初診日」が非常に重要となります。なぜなら、初診日時点に加入していた年金制度(国民年金もしくは厚生年金)によって、受給できる障害年金が異なるからです。さらに、初診日前日までに保険料納付要件を満たしているかどうかを判断するためにも必要となります。

受診状況等証明書を取得

初診日を証明する書類として、受診状況等証明書があります。初診から請求する時まで、同一医療機関に通院している場合は、受診状況等証明書は必要ありません。しかし、初診の医療機関と、現在通院する医療機関が異なる場合、初診の医療機関で受診状況等証明書を取得する必要があります。

診断書の作成を依頼

障害年金の審査で一番重要なものは、診断書の内容です。
ご自分の状況をいかに主治医に詳しく伝えて、診断書に反映させてもらうかが重要です。

病歴・就労状況等申立書を作成

「病歴・就労状況等申立書」は、初めて医師の診察を受けた時の経緯、発病から現在までの経過を整理して、年月順で記入します。請求する人から病状の進み具合、障害により日常生活で困っていることなどを伝える唯一の書類です。

最後に

障害年金の請求は、認定されるのが難しいケースもあります。
認定基準や手続きの進め方で悩んだり判断が付かなかったりする場合は、一度年金事務所や社会保険労務士に相談してみてはいかがでしょうか。

記事監修
この記事を書いた人

吉成玲子

職業:大和社会保険労務士事務所 代表社労士

所属:埼玉県社会保険労務士会、障害年金法研究会

27年の銀行勤務を経て、2009年に社会保険労務士として開業。 障害年金の相談員としての経験を経て、2012年より障害年金専門社労士として活動開始。相談件数1000件以上、裁定請求300件、審査請求20件、訴訟補佐人1件(勝訴)の実績を持ち、障害年金受給後のサポートも行い、多数の研修会やセミナーで登壇も行っています。