大和社会保険労務士事務所

お知らせ

年金の繰り上げは慎重に

2013.08.05

老齢年金の国民年金部分を繰り上げる人がいらっしゃいます。

国民年金は、基本は65歳から受給できることになっていますが、
申し出れば、60歳から受給できることになっています。

ただし、1か月繰り上げる毎に0.5%づつ減らされ、
60歳から受給する場合は、0.5%×60月で、30%年金額が減らされ、
これは一生続きます。

それでも、
「人の寿命はわからないので、早く受け取ってしまおう」
と繰り上げをされる方がいらっしゃいます。

気持ちはわからなくはありませんが、
それはちょっと待ってください、と言いたいのです。

なぜかというと、その場合は、障害年金が受けられくなることがあるからです。

年金には、老齢年金・遺族年金の他に、障害年金があります。

60歳前の、年金加入期間中に初診日のある病気や怪我で、
60歳過ぎてから症状が重くなった場合、65歳までは障害年金の請求ができるのですが、
繰り上げ受給をしている場合は、それはできないのです。

年金額は、障害年金2級で、
国民年金部分は、年金保険料を40年間未納なく納めた人の老齢年金と同じですし、
厚生年金部分は、もし納付月数が300月未満の場合は、300月にするという、
最低保証があります。
1級は、更にその2割5分増しですから、障害年金の方が絶対有利です。

病気が重くなると、通院代などかさみます。
そうなってから、ご相談に見える方がいらっしゃいますが、
繰り上げをしてしまっていると、当方としては、どうすることもできません。

どうか、「繰り上げ」は障害年金も視野に入れて、ご検討いただきたいと思います。

記事監修
この記事を書いた人

吉成玲子

職業:大和社会保険労務士事務所 代表社労士

所属:埼玉県社会保険労務士会、障害年金法研究会

27年の銀行勤務を経て、2009年に社会保険労務士として開業。 障害年金の相談員としての経験を経て、2012年より障害年金専門社労士として活動開始。相談件数1000件以上、裁定請求300件、審査請求20件、訴訟補佐人1件(勝訴)の実績を持ち、障害年金受給後のサポートも行い、多数の研修会やセミナーで登壇も行っています。