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網膜色素変性症と障害年金|基礎知識から申請ポイントまで徹底解説

2024.03.04

網膜色素変性症は進行性の眼の病気であり、日常生活や仕事上支障が生じている場合には障害年金の受給が可能です。ただし、障害年金の申請には認定基準や注意点があるため、あらかじめ確認しておきましょう。この記事では、網膜色素変性症の基本的な知識、障害年金の認定基準、申請時のポイントについて解説します。

網膜色素変性症とは

網膜色素変性症は、眼の網膜に位置する視細胞及び色素上皮細胞が徐々に機能を失っていく疾患です。日本では比較的まれな疾患であり、家族に病歴が見られることが多いため、遺伝的要素が強いとされています。

疾患の最大の特徴は、進行性にあります。初期段階では症状が軽微であったり、目立たなかったりすることが多いですが、時間の経過と共に症状が徐々に進行し、視力の低下を招くため、早期の診断と適切な治療、サポートが重要です。

網膜色素変性症の症状

網膜色素変性症は、網膜の光感受性細胞である視細胞、特に低光量に反応する杆状細胞と明るい光や色を識別する錐状細胞の機能低下や喪失を引き起こします。

網膜色素変性症の主な症状は、以下の通りです。

●夜盲症(暗闇での視力低下)
夜盲症は、最も良く見られる初期症状の一つです。暗い環境や夜間において、目が十分に適応できず、視力が著しく低下。杆状細胞が最初に影響を受けるため、暗い場所での視力低下が起こります。

●視野狭窄(トンネルビジョン)
症状の進行に伴い、視野が狭まるいわゆる「トンネルビジョン」が発生します。周囲の視野が失われ、まるでトンネルを通して見ているかのように視野の中心のみが残るケースが多いです。

●視力の減少
網膜の錐状細胞も徐々に影響を受け始め、視力が低下するのも症状の一つです。特に読書や細かい作業、車の運転など、日常生活の多くの場面で影響を及ぼす可能性があります。

●黄斑部の機能低下
網膜色素変性症が進行すると、網膜の中心部である黄斑部の機能が低下します。黄斑部は細かいものや色を識別する働きを持つため、機能が低下すると特に日中の視力に影響を及ぼします。

上記の症状は徐々に進行し、最終的には完全に視力を失う可能性があります。しかし、網膜色素変性症の治療は、症状の進行を遅らせることが中心です。早期発見と適切な対応が生活の質を保つためにも重要です。

網膜色素変性症の障害年金の認定基準とは

網膜色素変性症による障害年金の受給資格は、症状の進行度合いと日常生活への影響によって障害の程度を1~3級に区分し、判断されます。

【眼の認定基準】
1級
  • ・両眼の視力がそれぞれ0.03以下のもの

  • ・一眼の視力が0.04、他眼の視力が手動弁以下のもの

  • ・ゴールドマン型視野計による測定の結果、両眼のI/4視標による周辺視野角度の和がそれぞれ80度以下かつI/2視標による両眼中心視野角度が28度以下のもの

  • ・自動視野計による測定の結果、両眼開放視認点数が70点以下かつ両眼中心視野視認点数が20点以下のもの

2級
  • ・両眼の視力がそれぞれ0.07以下のもの

  • ・一眼の視力が0.08、他眼の視力が手動弁以下のもの

  • ・ゴールドマン型視野計による測定の結果、両眼のI/4視標による周辺視野角度の和がそれぞれ80度以下かつI/2視標による両眼中心視野角度が56度以下のもの

  • ・自動視野計による測定の結果、両眼開放視認点数が70点以下かつ両眼中心視野視認点数が40点以下のもの

  • ・身体の機能の障害が前各号と同程度以上と認められる状態であって、日常生活が著しい制限を受けるか、又は日常生活に著しい制限を加えることを必要とする程度のもの

3級
  • ・両眼の視力がそれぞれ0.1以下に減じたもの

  • ・ゴールドマン型視野計による測定の結果、両眼のI/4視標による周辺視野角度の和がそれぞれ80度以下に減じたもの

  • ・自動視野計による測定の結果、両眼開放視認点数が70点以下に減じたもの

引用:国民年金・厚生年金保険 障害認定基準

特に重要なポイントは、視力の低下です。例えば、両眼の視力が一定程度低下している、視野狭窄が一定程度以上進行している場合は、高度障害に認定される可能性があります。また、障害の程度に応じて、障害基礎年金や障害厚生年金など受給できる年金の種類も異なる点に注意してください。

申請の際には、医師の診断書が必須です。診断書には、現在の症状、病歴、治療状況などが詳細に記載されていなければなりません。

障害年金の申請手続きは複雑なので、必要書類の準備や手続きの流れを理解しておく必要があります。自分で申請するのが難しい場合は、年金事務所や社会保険労務士などの専門家に相談することも検討してみてください。

網膜色素変性症 事例

男性 59歳

子供のころから、夕方暗くなると見えにくくなっていたが、みんなそうだと思って気にしなかったそうです。
50代になって、会社で昼休みに外に出て、会社内に戻った時に、一瞬真っ暗になって目が慣れて周りが見えるようになるまで、時間がかかるようになりました。また自転車に乗っているとき、横から他の自転車が追い越していく際、追い越されるまで気が付かなくなったため、危険を感じて、眼科を受診しました。
障害年金のことを知ったのは、受診から8年近く経っていました。

お話を伺って、初診の時にすでにかなり症状が進んでいたと思われたため、障害認定日請求をすることにしました。
視野の検査は、そんなに頻繁にやるものではないので、初診から1年半後から3か月以内では、視野検査のデータがなかったのですが、初診から1年3か月後のデータはあり、2級相当だったので、「進行性の病気のため、障害認定日もこれより軽いとは考えられません」ということを付記して、障害認定日の診断書を書いていただきました。
その結果、5年遡及で障害厚生年金2級が決定しました。

障害年金を請求する進め方

障害年金を請求する手続きの進め方は以下の通りです

  1. 初診日を調べて特定する
  2. 受診状況等証明書を取得
  3. 診断書(肢体の障害用)の作成を依頼
  4. 病歴・就労状況等申立書を作成

初診日を調べる

障害年金の請求には、「初診日」が非常に重要となります。なぜなら、初診日時点に加入していた年金制度(国民年金もしくは厚生年金)によって、受給できる障害年金が異なるからです。さらに、初診日前日までに保険料納付要件を満たしているかどうかを判断するためにも必要となります。

受診状況等証明書を取得

初診日を証明する書類として、受診状況等証明書があります。初診から請求する時まで、同一医療機関に通院している場合は、受診状況等証明書は必要ありません。しかし、初診の医療機関と、現在通院する医療機関が異なる場合、初診の医療機関で受診状況等証明書を取得する必要があります。

診断書の作成を依頼

障害年金の審査で一番重要なものは、診断書の内容です。
ご自分の状況をいかに主治医に詳しく伝えて、診断書に反映させてもらうかが重要です。

病歴・就労状況等申立書を作成

「病歴・就労状況等申立書」は、初めて医師の診察を受けた時の経緯、発病から現在までの経過を整理して、年月順で記入します。請求する人から病状の進み具合、障害により日常生活で困っていることなどを伝える唯一の書類です。

最後に

障害年金の請求は、認定されるのが難しいケースもあります。
認定基準や手続きの進め方で悩んだり判断が付かなかったりする場合は、一度年金事務所や社会保険労務士に相談してみてはいかがでしょうか。